『エラゴン〜遺志を継ぐ者』

cinemachouchou2007-01-05

あけましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。


10代の少年クリストファー・パオリーニの大ベストセラーの映画化。冒険ものは大好き!な甥と一緒に観てきたのだけれど、まだ急に咳が出たりするのでのど飴とお水は必須だった。真剣にワクワクして魅入っている甥の様子を覗いながら楽しい感動作だった。主役のエラゴンを演じる17歳の少年はこれが映画デビューとなるエド・スペリーアス君。エルフ族の王女アーリア役のシエンナ・ギロリーが凛とした美しさで相変わらずお美しかった♪しかし、私の一番のお目当てはエラゴンを導くブロム役のジェレミー・アイアンズ!なので死んでしまった後は次のお目当てのロバート・カーライルの悪役メイクにクスクスしてみたり、ガルバトリックス役のジョン・マルコヴィッチ(今回出番は少なかったけれど、続編にも登場するので期待!)、サフィラ(ドラゴン)の声はレイチェル・ワイズだったし、主題歌もしっとりと美しい曲で誰だろう?とエンドロールを見ているとアヴリル・ラヴィーンだった。何だか豪華な気分、大作ならではの感想というのかな?甥が行かなければレンタルで済ませていたかもしれないけれど、劇場でのあの音や映像の迫力は得られないのだから、大満足だった。まだ続編が続くのだけれど、原作を読んでいない私はブロムが蘇ることを期待したいのだけれど...。アイアンズやマルコヴィッチ(「仮面の男」の同志!)がいるので作品がシマル!そんな風に思えた。


新年最初の映画日記は冒険ファンタジーもの。「ハリー・ポッター」にいつか何かの役でアイアンズが登場しないかなぁ〜とか。今回も英国俳優の方も多く、神話やエルフの物語は好きなのでまた続編が楽しみ。気楽に鑑賞できる、この娯楽性、これも映画の魅力のひとつなのだと痛感した。此処は映画日記なので、劇場で観た作品やレンタルやTVなどで観た新作、久しぶりに観た古い映画などを綴っていきたいと思います。今まで観た映画で、格別大好きな作品など(此処にも書いていますが)は、これからは『映画の宝石箱★美しき菫色の刻に愛を込めて』(Brigitteサイトの改装予定なのでコンテンツが無くなってしまうものもあるので移行作業などもしています)の方で。映画関係は今後はこちらを主に出来るだけマメに更新していきたいと思っています。どうぞ今後とも、よろしくお願い致します。


好きな作品は何度も観る癖は悪化しているよう、記録していないので漠然とながら2006年に観た回数の多い映画を挙げてみます。これはケーブルなどの再放送なども影響しているのですが、やっぱり”好き”なのでしょうね♪


1.「太陽がいっぱい」2.「から騒ぎ」3.「翼をください」4.「キャリー」5.「華麗なるギャツビー」6.「鬼火」7.「ピンクの豹」8.「カジノ・ロワイヤル」9.「ジュリア」10.「彷徨う心」...こんな具合でした。コッソリ観ては泣いたり考え込んだり、笑ったりという作品たちも沢山。それらのどうしても好きな作品をテーマは時にタブーに及ぶものもありますが、好きなのだから仕方がありません。時に顰蹙やお怒りを受けてしまうこともあるかもしれませんが、『輝きの館★美しき菫色の刻に愛を込めて』は今年からの私の毎日更新を目指す愉しい作業となりそうです。どうぞ、お気軽にそちらにもコメントやTBにお越しくださると嬉しいです。


「エラゴン 遺志を継ぐ者」:ERAGON
2006年 アメリカ映画 シュテフェン・ファンマイヤー監督 
出演:エド・スペリーアス、ジェレミー・アイアンズシエンナ・ギロリーロバート・カーライルジョン・マルコヴィッチギャレット・ヘドランド

『エコール』

cinemachouchou2006-12-07

ルシール・アザリロヴィック監督の新作(初の長編作)とあり、関東で上映開始頃から待ち遠しくドキドキしていた。やっと昨日(12/6)劇場で観る事が出来て良かった。ルシール・アザリロヴィック監督の公私に渡るパートナーはかの、ビザール映画の鬼才!ギャスパー・ノエ。このお二人は互いに監督、製作などを協力しあって来ている。『エコール』の最後には”ギャスパーに捧ぐ”と画面に記されていて嬉しかった。ノエ監督と言えば、『カルネ』から10年経つけれど、あの映画は驚いたものだ。ルシール・アザリロヴィック監督は前作の『MIMI』も好きな作品だった。あの少女は12歳だったけれど、今作では6歳から12歳までの少女たちが主役。そして、二人の美しい女性の先生にはマリオン・コティヤールとエレーヌ・ドゥ・フジュロール!ハリウッド作品にも進出している女優さま。このお二人の出ている映画にも好きなものは他にもあるけれど、今日は『エコール』。


基本的に寄宿舎ものは大好き!でも、この学校は不思議で新入生は棺に入れられてやって来る。卒業してゆく少女は地下の鉄道から外の世界へ。学校は森の中。使用人の老婆が二人、ダンスと生物学の先生が二人、そして校長先生ともうお一人、みんな女性ばかり。私は少女映画は幅広く好むので始終気分が良かった。それぞれの少女たち、みんな可愛くて危うくて儚い。馴染めずボートで逃亡しようとして死んでしまうローラちゃん、新入生のイリスちゃんがやって来たので1つ年上になってちょっと意地悪するセルマちゃん(この少女!個人的にプチっとした愛らしいお顔で好み♪)、高い壁をよじ登り脱出に成功するアリスちゃん、そして、最も美しい脚とお鼻の感じがキュートな年長のビアンカちゃん、その後を引き継ぐナディアちゃん...すっかり役名を覚えてしまった。


まだ、公開中なのであまり内容は書かない方が良いのかぁ?私の感想は、冒頭の音から棺、白いミニスカートの下の2本の脚(白いソックスと靴)が順番に登場する。もう!この始まり方からして同類項。何故、この監督の作品が好きかと言えばこういうことだろう。『サスペリア』と同じ原作
『ミネハハ』だと知り、なるほどぉ〜!って思う(違った描き方だけれど)。原題は『イノセンス』。そして、好きな映画が次々と連想される。最後は外の世界に出たビアンカちゃんが男子と噴水のしぶきの中、笑顔で眩いばかりのかわいらしさ!この瞬間、幸福だった。綻ぶ顔と溢れそうな涙で私は幸せだった。何故かは分からないけれど。


少女と言っても幅がある。幼女、童女から思春期手前辺りの子供時代。少年にも少年だけの瞬間があるように少女にもあり、それらはあまりにも瞬く間の時。森や水、光や蝶。生態の変化を森の生き物たちと共に幼い少女たちの外の世界(大人になっていく)への準備段階を、この森の中で過ごす様子たち。それぞれの危うい気持ちは女性監督なので繊細に優しくそれらを美しく描いていた。古い大きな時計、これもポイントというか私が好きなもの。カチカチと時を刻む音も、ノイズの様な底で蠢く水の音、弾ける水の音...全て好き。音楽も良かったし、映像もとっても綺麗だった。このお二人の監督作品中、もっとも受け入れられる可能性の高い作品に思えた。でも、好き嫌いは分かれる作風だけれど。幻想的でゴシック感覚もありながらも光に向かうファンタジックな世界。ジトジトしていない。ジトジトした世界を描いてもいるのだけれど...そんな気がした。DVDが出ると買うのでまた何度でも観るのだと思う。ビアンカちゃんが学校を去って、また次の新入生が棺で運ばれて来た。また、少女たちはおりボンを交換するのだ。7色の年齢別に決められた色。こういうのもとてもツボ!でも、あの学校に一生仕えるのだろうか...と先生と使用人の女性たちの存在も気になったり。また、もう少し『クララの森・少女愛惜』で追記。今は頭の中が「好き!」「可愛い〜」「きゃぁ〜♪」「しあわせ〜」という気分でいっぱい。でも、映画友達の中にこういう映画が大嫌い!なお友達も居るのも知っている。色んな映画があり、人それぞれの感じ方がある。嫌い!という意見を聞くのも嫌じゃない。新鮮に感じることもあるから。私は、身近に感じられる気がするのかな?こういう映画は。なので、逆に全く知らない世界を描いた映画だって興味はいっぱい。どうしても映画は最良の娯楽★



「エコール」:INNOCENCE

2004年 ベルギー/フランス合作映画 ルシール・アザリロヴィック監督 
出演:ベランジェール・オーブルージュ、ゾエ・オークレールマリオン・コティヤール、エレーヌ・ドゥ・フジュロール


『ぼくセザール10歳半 1m39cm』

cinemachouchou2006-11-03

誰もが時間がもっと欲しいと思っておられるのだろうなぁ。これだけは24時間平等なのだから。私は好きなことをお仕事としてどうにかこうにか過ごしている。でも、毎日観た映画や音楽のことをブログに綴る時間が足りないので、更新が気まぐれで怠惰だと反省している。でも、その時の気分で選ぶ映画は違うけれど、どうしても欠かせないもの。この『ぼくセザール10歳半 1m39cm』はレンタル屋さんの新作に並んでいたので知った。ジャケットからして「楽しそう〜♪」って思った。監督名にリシャール・ベリの名を見つけ、借りるより買おうと思った。なので、今頃ようやく観ている。リシャール・ベリフィルム・ノワールな作品から観たけれど、決定打は『無伴奏シャコンヌ』かな。『ペダル・ドゥース』も大好き!脇役も主役もこなすダンディなお方でお気に入り。


そのリシャール・ベリは、この作品では監督に徹しているので出演はない。でも、美少女サラ役は実の娘さまのジョセフィーヌ・ベリ。とっても可愛い♪でも、主人公はセザール・プチ君!「ぼくセザール10歳半 1m39cm、ちょっと太め。」な男の子。『バティニョールおじさん』でデビューした少年。そのセザール君の視点でずっと描かれる。親友のモルガン君はスタイルも良く、運動神経も抜群。でも、父親の顔を知らないのだ。ただイギリス人で名前だけ聞かされていただけ。そして、この3人がモルガン君のお父さんを探しにイギリスに向かうという冒険をする。サラちゃんにほのかな恋心を抱くセザール君でもある。始終、クスクスと愛らしくて愉快な映画。私は男子ではないので少年期の気持ちは分からないけれど、何となく「フン、フン!そうよね〜。」って思いながら、よく食べるお腹の出た(あの幼児体型も微笑ましい♪)セザール君にいつの間にか感情移入して、彼らを応援しながら観ていた。名作という感じでもないのだけれど、好きな作風。愛らしくて。


主役はこの子役の3人だけれど、脇役が豪華!流石のリシャール・ベリとあって名優達が揃っていた。セザール君の両親には、父・ジャン=フィリップ・エコフェ、母・マリア・デ・メディロスだし、後半登場するパンクな中年女性グロリア役にはアンナ・カリーナ!ちょっとコミカルだけれどカッコイイのだ。この映画の続編も予定されているそうで、セザール君の成長をまた観れるかも。彼の言葉や仕草、表情、心の中の言葉が特に好き。モルガン君やサラちゃんの気持ちもそれぞれ考えたりしながら、ほのぼのと、でもちょっとドキドキしながら観ていた。音楽も良かった。気に入ったので吹き替え版でも観たけれど、そちらも楽しかった。子供が主役の映画って好きなので機会に恵まれると観てしまう。普段は字幕版を主に観るのだけれど、子供たちが主役のほのぼのものっていうのは吹き替え版も好きだったりする。


「ぼくセザール10歳半 1m39cm 」:MOI CESAR, 10 ANS 1/2, 1M39
2003年 フランス映画 リシャール・ベリ監督 
出演:ジュール・シトリュク、ジョセフィーヌ・ベリ、マボ・クヤテ、・ジャン=フィリップ・エコフェ、マリア・デ・メディロス、アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ルーヴ、ディディエ・ベニュロ、ステファーヌ・ギヨン、カトリン・ブアマン

『コロンバインの空に コロンバイン高校事件を乗り越えて』

cinemachouchou2006-10-10

久しぶりのデブラ・ウィンガー主演作品。「僕はラジオ」でのエド・ハリスの奥さん役も素敵だった。いい感じに年を重ねているお方のお一人。この方はきっとこのまま皺の整形などもしないのではないだろうか。お声が特に好きでもある。というわけで、これはデブラ・ウィンガーが出ているというので観たかったもの。監督は俳優のアーリス・ハワードでデブラのご主人でもある。


実際に起こった事件を基に、そして犠牲者となった生徒たちに捧げられている。原題は「Dawn Anna」。デブラが演じる女性の名前。女手一つで4人の子供を育ててきた。苦しい家計の為に2つものお仕事を始める。すると家事が出来ない。でも、4人の子供達が母の家庭内の仕事を手分けして助ける。アンナは子供と仕事で精一杯。高校の女子バレー部のコーチの仕事で、ある男性と出会う。この中年男性は独身でやっと理想の女性を見つけたのだ。この男性の存在が後々の困難な時期に重要な支えとなっていく。運命的なものを感じた。


アンナは数学教師の仕事もしている。予兆はあったけれど眩暈で倒れてしまう。時折、すぐ直前の事さえ忘れてしまう。脳の難病に侵されていたのだ。難しい手術を受けたけれど、単語一つから覚えないといけない状況に。そんな母を子供たちは必死で看病する。あの男性も。驚くべき精神力と忍耐力。アンナはリハビリを続け少しずつ回復してゆく。彼女には4人の子供がいる。彼らの為に闘っていたのだと思う。強い!


そうして、5年後。4人はそれぞれ成長し、もう同居している子供は一番下の娘だけ。アンナと子供達を優しく見守って来た男性とも再婚。そして、3人はコロンバインへ引越す。その高校で娘もバレー部に所属していた。絵が上手で、大切に育てていた卵が遂に羽化した。穏やかな日々に突然の事件。武装した者達がコロンバイン高校に侵入し銃を乱射する事件が起こる。アンナの娘は死者の一人となってしまった。家族の嘆きの深さはどんなに辛いものだっただろう!今もその悲しみは消えないだろうが、アンナはこのような事件が二度と起こらないようにと活動を始める。今もその活動は続けているという。これは、ドーン・アンナという女性の苦難と人生に向かう姿を描いていて、それをデブラ・ウィンガーが演じる。少し設定が違えば感動の度合いも違ったように思う。素晴らしい女優さま。復帰して下さってとても嬉しい。


「コロンバインの空に コロンバイン高校事件を乗り越えて」:Dawn Anna
2005年 アメリカ映画 アーリス・ハワード監督
出演:デブラ・ウィンガー、クリスタ・ラエ、ラリー・オースティン、リー・キャメロン 

『フライトプラン』

cinemachouchou2006-09-12

ジョディ・フォスターの復帰主演作だというのに劇場で観ていない。好きな女優さまなので落ち着いて観たい。やっと先日観る事が出来た。ジョディは航空機設計士という役でその最新型の豪華で大きな飛行機。その中での密室サスペンス。そして高度一万メートル。(高所と閉所恐怖症の私はその設定だけでもハラハラしてしまう。)ご覧になられた方も多いと思うのだけれど、犯人分かりますよね?!って思った。私はあまり推理力に長けてる方ではないのに、結構最初の方からカーソン(ピーター・サースガード)が怪しい感じがしていた。相棒がいた事までは分からなかったけれど。でも、もしかするとカイル(ジョディ)の妄想なのかな?と思ったり。機長役が凛々しくキマッテいた!ショーン・ビーンも含めてみんなに騙されてるのかな?ともちょっと...。ジュリアン・ムーア『フォーガットン』と少しダブルところがあったりして。母親と子供という設定なので。


娘ジュリア(マーリーン・ローストン)は少しの台詞しかなかったけれど可愛い少女だった。そのジュリアと一緒に最初に機内に乗り、ジュリアは窓際の窓ガラスにハートマークを小さな指で描いていた。そのマークをなぞるカイル。彼女の妄想ではない!とハッキリしていく。もう少し、二転三転するお話展開だともっと良かったかも?でも、ジョディはカッコイイ!彼女の存在感が大きいので一人目立っていたように思うのは贔屓目だろうか。そして、母は強いものだなぁ〜と。絆というものは目に見えない強さ。そんなことを『フォーガットン』も同様に感じたこと。


それにしても、この様な役はジョディのイメージみたいになっているのかも。でも、これからも色んな役を演じたり監督したりするのだと思うので、今後の作品が楽しみ♪そして、あのブルーな瞳は相変わらず美しかった!


「フライトプラン」:FLIGHTPLAN
2005年 アメリカ映画 ロベルト・シュヴェンケ監督
出演:ジョディ・フォスターショーン・ビーンピーター・サースガード、マーリーン・ローストン、エリカ・クリステンセン、ケイト・ビーハン

『仁義』

cinemachouchou2006-08-18


またまた運命の輪の如く、偶然BS放送で『仁義』を観た。大好きな映画!なので、もう英語版も含めると結構観ている。生きている間、またこうして観るだろうからきっと50回は観るような気がする(回数はどうでもいいのだけれど)。最初はアラン・ドロンがお目当てだった。勿論、ここでもカッコイイ。そして、イヴ・モンタンの渋さにゾクゾクしてからはモンタン中心に観る時期があった。今回もやっぱり、モンタン、渋すぎるくらいにカッコイイ!ブールヴィルもフランソワ・ペリエも、ジャン・マリア・ヴォロンテも...みんなカッコイイ!


こうして、私は「カッコイイ!」ばかり連発してしまう。でも、それぞれのカッコ良さで同じではない。この映画の主要な役の中で、アラン・ドロンは一番お若い。モンタンは一回り以上年上だし、ブールヴィルは遺作だと思う。そして、この名優さま達は他の作品でも共演作が繋がっていて、考え出すと楽しくなるのでノートに書き出してみたりしていた。嗚呼〜愉快!もうお一人、ポール・クローシェという名脇役を忘れてはならない!私。フランスのフィルム・ノワールと呼ばれる名作には多数出演されている。でも、主役はドロンやリノ・ヴァンチュラだったり、シモーヌ・シニョレアニー・ジラルドという名女優さまの脇にいる。でも、脇役が一流だとさらに良いわけで...。もう、楽しくって何を書いてるのやら。


ジャン=ピエール・メルヴィル!この監督は役者としても結構登場されるけれど、このブルー・トーンな映像とストーリー(脚本)は大好き。『サムライ』も『影の軍隊』...も全部。でも、『仁義』はモンタンのあのアル中の震える手、落ちぶれた元刑事。でも、男同士の計画。ここぞ!という時に見事な射的。そして、この1970年という好きな時代に既に中年のモンタン。ペリエもそうだけれど、あのお顔の皺が実に素敵なのだ。私は自分が年を重ねたという事もあるのだけれど、最近皺の渋さに見とれてしまう。大女優のジャンヌ・モローはもうその最高峰だろう。リヴ・ウルマンもいい。もう少しお若いお方だとヴァネッサ・レッドグレーヴシャーロット・ランプリングさま...。嘗てはヘルムート・バーガーさまをお目当てに観た『コードネームはエメラルド』。その主演のエド・ハリスがここ数年で私の中で大ブレイクを起こしている。見る度に皺が深く刻まれるトミー・リー・ジョーンズとか。


この『仁義』という邦題は日本人なので分かり易い。原題は赤い輪、運命の宿命の赤い輪。この5人の男達の「仁義」な美学。分け前は要らない(自分との決着をつけたかっただけだと。きゃぁ〜素敵★)とモンタン(ジャンセン)、でも、最後まで見届けるからとドロン(コリー)と車で向かう。死を共にすることになるのだけれど。ヴォロンテ(ヴォーグル)は最後近くに「何故、黙っていたのだ。」とブールヴィル(マティ刑事)に訊かれ「仁義だ。」と一言語る。フィルム・ノワールの巨匠のお一人とされているメルヴィルが残した脚本を元に、2002年に『ギャンブルプレイ』としてニール・ジョーダン監督で映画化された。この映画も大好き!な訳が後から判明。脚本がメルヴィルだもの〜!って。ニック・ノルティが落ちぶれたギャンブラー。何か企んでいるぞ?!と追う刑事がチェッキー・カリョ。この追われる男と追う男、実は何か友情で結ばれている。そういう演技はこうした渋い役者でないとカッコ良くはない。そう、エミール・クストリッツァ監督も金庫破りの仲間のお一人として出演していて嬉しい。色々思いついてしまうけれど、繋がっているので楽しくてしかたがない。フランスの脚本がイギリスやアメリカ、ドイツやユーゴの映画人達によって甦った。すっかり、めちゃくちゃな取り留めのない内容を一気に綴っているのだけれど、忘れてはいけないなぁ〜と思う、もう一つの素晴らしさ。『仁義』の事だけれど、音楽も絶妙!エリック・ドマルサンによるジャズが実にクール。そして、宝石店に押し入り逃亡するまでのあの静寂さ。台詞がない!ドロンもヴォロンテもモンタンも喋らない。勿論、ハラハラさせる効果音もない。あの台詞のない緊張感にドキドキさせられる。絵になる男達でないとあの長さは持たないだろうと思う。と、贔屓目いっぱい!で文句無しの名作を堪能した。また、直ぐにでも観るかも♪


「仁義」:LE CERCLE ROUGE
1970年 フランス映画 ジャン=ピエール・メルヴィル監督
出演:アラン・ドロンイヴ・モンタンジャン・マリア・ヴォロンテブールヴィルアンドレブールヴィル)、フランソワ・ペリエ、ポール・クローシェ

『キングダム・オブ・ヘブン』

cinemachouchou2006-08-06

最近はというと、実は横溝正史大会状態だった。もう何年前になるだろうか?TVで横溝正史金田一耕介シリーズが毎週放送されていた。次週に”つづく”ので待ち遠しくしていたものだった。それとは別に劇場版もいくつか観ているのだけれど、いずれも1度ずつのみ。そして、かなり年月が経った今、何故だかまた観たくなってしまった。観たのは市川崑監督のシリーズ5作。金田一耕介役の石坂浩二を始め、私の好きな役者さんがどれにも出ているので。かなり記憶があやふやになっていて、同じタイトルでもテレビ版と映画版が混合されている状態だったのでスッキリした。どれも好き。やっぱり岸恵子さんが出てくると嬉しくなるのだった。でも、『病院坂の首縊りの家』が特に新鮮に新たに焼きついたような気がする。佐久間良子さんもお美しいけれど、桜田淳子(当時19歳か20歳位?)の美少女ぶりにドキドキした。お話がそれるけれど、私の母は山口百恵のファンで引退時も大騒ぎしていた、「百恵ちゃん、百恵ちゃん」と。私は桜田淳子派だった。まぁ、そんな懐かしい記憶や思い出と共に、邦画はどうしても昭和ものが好きで仕方がないみたい...。


今大ヒット公開中!の『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』ジョニー・デップオーランド・ブルームキーラ・ナイトレイと揃い組。まだ、こちらは未見なのだけれど、やっと『キングダム・オブ・ヘブン』を観た。歴史劇で登場人物の名前が一致しないので3度観た。145分の大作ながら長さは全く感じなかった。また、ここでもご贔屓のジェレミー・アイアンズが脇で渋い存在感を発揮。2/3程過ぎた辺りからもう登場されないのでそこから少しクールに観ていた。映画の見方にも色々あるのだろうけれど、私はいつもこんな感じ。リーアム・ニーソンは序盤に少し登場するのみだった。主役はオーリーこと、オーランド・ブルームな訳でこの新しきスター(アイドル)は予想以上に良かった(ファンの皆様には叱られそうだけれど)。良い意味でのアクの無さがこのバリアン役に合っていた様に思えた。ほとんど、男騒ぎする中、そのバリアンのロマンスも織り交ざっていて。そのヒロイン、エルサレム王の妹シビラ役のエヴァ・グリーンは、まだ何か開花前という感じだけれど、この上映前にオーランド・ブルームと一緒に来日キャンペーンのインタビューを観た時に、「あっ、好き♪」って彼女ばかり見ていた。英国で演劇の勉強や生活をされていたそうだけれど、パリ生まれのフランス人。お母様はマルレーヌ・ジョベールだと知った時は驚いた。だって『雨の訪問者』大好きなので〜★


全く、映画の内容に触れずに相変わらずミーハーな見方をして喜んでいる私。片方の目の辺りに縦に傷を負ったアイアンズ扮するティベリアス。この出演前にかなり「十字軍」についての歴史を研究されたそうだ。12世紀のフランスが舞台。キリスト教徒とイスラム教徒の共存する世界。そして聖地を巡っての争い。この古い史実は歴史の授業で少し習った程度の私。でも、この21世紀の今も昔から変わらない、変わっていないものがあるのだとこの映画はお説教がましくなく私に教えてくれた。そんな気がした。評価は色々あるのだろうなぁ。でも、素人感覚なのであの壮大なスケールには感動してしまう。多くの騎士たち(エキストラや馬の数を考えただけでも)、戦闘シーン。そうそう、私はライオンの次に馬(白馬ならさらに!)が好きで、それに騎士たちの勇姿(日本だと武士、サムライも)って好きなのだと思う。インディペンデント映画ではあの醍醐味は予算がないので無理だもの。映画ってお金が沢山掛かっていれば良いのでもないし、低予算での製作だからダメでもない。そして、その逆もある。そして、ハリウッド大作だからとか、人の知らないマニアックな作品だから...とか、そういう見方は楽しくないなっ。そんな事もよく感じる今日この頃。


「キングダム・オブ・ヘブン」:KINGDOM OF HEAVEN
2005年 アメリカ映画 リドリー・スコット監督
出演:オーランド・ブルームエヴァ・グリーンジェレミー・アイアンズリーアム・ニーソンエドワード・ノートンデヴィッド・シューリスブレンダン・グリーソン