『嵐が丘』

cinemachouchou2005-05-18

嵐が丘」というとエミリー・ブロンテケイト・ブッシュローレンス・オリヴィエ(ケイトは曲名だけれど)...と浮かぶ、英国文学としても映画としても馴染みの深い作品。海外での映画化はこれで5回目となるもの。


ジュリエット・ビノシュは「汚れた血」「存在の耐えられない軽さ」の辺りがどうしても好き。でも、出ていると見ているけれど。この「嵐が丘」のキャサリン役はとても期待していたものだ。しかし、ヒースクリフ役のレイフ・ファインズが素晴しく、今作ではキャサリンの娘キャシーまで描かれているけれど、その娘役もビノシュだったのはやっぱりどこか不自然さとう〜ん?という気がしてならないのだった。二役に物足らなさを感じた様な気がする。


レイフ・ファインズは色んな役をこなすお方だけれど、この執念、情念のヒースクリフを好演していたと思う。繊細さとぎらぎらした面がとても胸を打つ場面が多かった。ビノシュには少し物足らないものを感じたけれど、映画としては結構好きだと思う。音楽の坂本龍一は素晴しいし、エミリー・ブロンテ役でシンニード・オコナー、ヒンドレイ役のジェレミー・ノーザムも出ていて個人的に楽しむ事が出来た。


ビノシュにはもう少し運命的な女性の持つ込み上げる様な情感、小悪魔的なキャサリンが感じられず残念だったのかも?イザベル・アジャーニにお若い頃、演じて頂きたかった様な気もした。1977年にエミリー・ブロンテを演じたあのアジャーニはとても素晴しく美しかった。そんな事を連想していた。英国の荒野に建つ古びたお館、あの光景はどうしても好きだと言える。


「嵐が丘」:WUTHERING HEIGHTS
1992年 イギリス映画 ピーター・コズミンスキー監督
出演: ジュリエット・ビノシュレイフ・ファインズジャネット・マクティア、サイモン・シェパード、ジェレミー・ノーザム、シンニード・オコナー
音楽:坂本龍一