『ラスムスくんの幸せをさがして』

cinemachouchou2005-08-13

最近は戦後60年ということで、戦争映画の放映が多くドイツの「Uボート」やまたまたアラン・ドロンも出演の「パリは燃えているか」...、そして好きな文芸ものや歴史劇などを観ていた。そんな私ながら、実は少女や少年が主役の映画も大好きなので観ている。


観ようと録画したまま未見だった「ラスムスくんの幸せをさがして」に偶々TVで遭遇。長閑な風景と小さな少年少女たち。しかし、この子供達はみんな孤児で引き取ってくれる里親が出来る日を待っているのだ...でも、大抵は巻き毛の女の子が優先される。そんなある日、この映画の主人公ラスムス君はこっそりと孤児院を抜け出してしまう。


そして、あるおじさんと出会う。自称、風来坊オスカル!(オスカルという名にドキっとし、そして、はて〜?このおじさん、とても見覚えがある...)そう、このオスカル役のアラン・エドワールはベルイマンの「処女の泉」やタルコフスキーの「サクリファイス」に出ていた渋い存在感を残す俳優さんだった。そんなちょっと忘れていた記憶が呼び戻されたりするので愉しい。


9歳(少年期として好きな頃♪)のボサボサのブロンド少年ラスムス君もオスカルおじさんと放浪を共にしている中、大農園のご夫婦の息子にしてもらえるというチャンスが訪れる。でも、ラスムス君はお金持ちの息子になるよりもオスカルおじさんと一緒の放浪を選ぶ。おじさんはアコーディオンを弾き歌う。貧乏でも人生を謳歌しているのだ。大人の世界や社会が少し見えかける年頃。この映画はラスムス君の視点から描かれているので、何とも観ていて気持ち良くほんわかとした気分になれるものだった。


放浪癖のあるオスカルおじさんには実は奥さんが居て家もある。ところが、少しお仕事をしてはふらり〜と何処かへ出かけてしまうのだ。そんな夫を呆れながらも理解して家を守る奥さんも素敵だと思った。「また旅に出ような。」と嬉しそうにおじさんはラスムス君に語り歌う。ラスムス君にとって、とても素敵な両親が出来たのだ。


原作はスウェーデンの児童文学で有名なアストリッド・リンドグレーンの「さすらいの孤児ラスムス」で、アストリッド・リンドグレーンはこの映画の脚本も担当している。同じく原作と脚本を担当した「やかまし村の子どもたち」や「やかまし村の春夏秋冬」も大好き!子供向けの為だけの作品ではない微笑ましさが心地よいのだと思う。



「ラスムスくんの幸せをさがして」:RASMUS PA LUFFEN
1981年 スウェーデン映画 オル・ヘルボム監督
出演:エリック・リンドグレーン、アラン・エドワール、エミー・ストーム、パル・スティー
原作・脚本:アストリッド・リンドグレーン